そうだコンテナー データセンターを作ろう (Part3. 不動産競売編)

前回までのあらすじ

過去 2 回にわたって候補地の選定について書いてきました。

が、半年近く探しても一向に要件を満たす土地が見つからず…

それは不思議な出会いなの?

不動産検索サイトを巡回するのが日課になったある日、ふと裁判所の競売物件の一覧にも目を通していると、コンテナを置くために用意された土地と言わんばかりの物件に出会いました。しかも都内から 1 時間前後で接道 4 m 以上、電気もネットワークも問題なし、価格も予算内という条件的にも文句なしの神物件。

こんな奇跡はそうそう無いのでまあダメ元で…と、不動産検索をやめて突如競売について情報収集をすることに。当然ですが競売の知識は何もないうえに、気づいたのが遅く、入札期間まで 2 週間程度しかないという中々の強行スケジュールです。

ひとまず徹夜で Web を彷徨い、そもそも競売の流れや手続きがどうなっているか情報収集。

単純に「入札して、最高額の人が落札して終わり」というわけではなく、諸々手続きが必要なうえ、Web を物色しているとかなりリスクも高そうな様子…。今回は土地なので居座られる可能性は低いのですが、家屋がある場合には立ち退き交渉やら、引っ越し費用の負担、強制執行の手続きが必要になることもあるそうで。通常の不動産と違って事前に内見できないし、瑕疵担保責任が生じないので、安いからといって不用意に手を出すのは止めたほうが良さそうな感じでした。

とはいえ、多少のリスクを怖がっていたら何もできないので、競売の流れを把握したところで物件情報 (3 点セット) をがっつり読み込みます。

不動産競売では、売却物件ごとに「物件明細書」、「現況調査報告書」、「評価書」がセットになった、いわゆる 3 点セットが BIT で公開されていて、物件にもよるでしょうが 20 – 30 ページにわたって入札期間や開札期日といったスケジュールから、権利関係や関係人陳述、物件の占有状況に至るまで記載されています。

もちろん、記載内容が全ての事実関係を網羅できているわけではないので 100 パーセント信じるわけにもいかないのですが、競売に入札する人が知りえる情報はこれが全て (あとは現地調査くらい) なので、誰が誰に貸していたかなどの権利関係や、占有者の有無などを中心に何度も目を通すようにします。

あと、落札金額は首都圏だと売却基準額の 2 倍を超すことも多々あるそうで、過去の売却結果やら近隣の不動産価格にも目を配っておかないとダメそうでした。

 

そんな感じで、念入りに下調べをしたら、現地視察に行く暇もなく入札期間に突入…。しかも入札に必要な書類は平日わざわざ管轄裁判所まで取りに行かないという事で、仕事を休むわけにもいかず、競売のサポートをしている「競売くん」なるサイトから買うことに。(タダで置いてある書類を「セルフ入札セット」と称して高値で売るのはどうなんだと思いつつ、時間がないので渋々購入…)

入札には、ざっくり以下のものが必要でした。

  • 入札書 (入札金額を書いて厳封)
  • 入札保証金振込証明書 (売却基準価額の 2 割を保証金として事前振り込み)
  • 入札者の住民票

ちなみに、入札には不動産業者が多く参加していて、かつ利益が出るギリギリのラインで入札してくるそうで、そんな背景もあってか競売のサポート業者が高い手数料を取ってアドバイスやら諸手続きを代行しているようです。まあ、他人に頼んだところで落札できる保証はないですし、必要な情報はネットで十分揃ったので、結局のところ私は全部自分で調べて入札まで独学でやっています。

いざ開札!

入札期間が終わって一週間すると、ついに裁判所で開札が行われます。が、仕事があるので現地には行けず、BITS の開札結果ページを F5 連打。「まあ、素人が適当にやって落札できるわけもないだろう」と思いながら結果をみると… おやおや、見覚えのある落札価格が載っているではないですか。この時点で、「マジかー、やっちまったなー。」という賢者モードに突入。

それから一週間して正式に売却許可が出ると落札結果と振り込み等々の書類が届くはずなのですが、待ちきれずに裁判所へ。(撮影 NG なので写真が撮れないのが残念です。)さらに、現地へ一度も行っていなかったこともあり、落札金額を支払う前に現地を初めて視察に行きます。

そんなこんなで落札した (厳密には最高価買受申出人になる) のですが、各所から素人が不動産競売に手を出すのは危ないといわれるので、念のため落札後に法律の専門家にも相談へ行ってます。競売の情報を探しているときからお世話になったブログがあり、どうやら元々は裁判所勤務で不動産関係を担当されていた方らしいので、そちらへご相談。急に連絡したのに親身になって相談に乗ってもらえて、特に怪しいところもないことが分かったので大変助かりました。資料一式と聞きたいことを整理していったこともあり、1 時間以内だから無料でいいよとも言ってくれたのですが、プロにタダで仕事を頼むのは嫌なので、きちんと謝礼はお支払いしました。

面倒な事務手続き…

怒涛の二週間が過ぎ、特に懸念点もなくなったので、ついに落札手続きへ。ただ、必要書類が多くて地味に面倒臭い…。

  • 法務局で登記事項証明書 (不動産登記簿謄本) を取り寄せ
  • 落札者の住民票を取り寄せ
  • 国庫へ保管金を納税
  • 登録免許税の納付
  • etc…

まあ、送付されてきた書面を読めば全部書いてあるので、各地の役所に行って書類をとるだけなんですけど。

で、裁判所の手続きが終わると、法務局が嘱託で不動産移転登記をやってくれます。一週間程度で法務局から登記識別情報が届き、晴れて私に所有権が移ります。ここまで終わると、元の所有者へ明け渡しの同意書を送ったり、権利関係者にも所有権移転の連絡して立ち退いてもらったり、といった当事者間の交渉に。幸いトラブルもなくスムーズに進みましたが、開札結果が分かってから何だかんだ一か月半くらいかかりました。

 

20 代半ばで自分の土地を持つことになるとは思ってもなかったですし、まさか不動産競売に手を出すとか想像もしてなかったですが、やってみると何とかなるもんですね。

ここまでの出費

領収書が残っているものを中心に書き出すと、だいたい 200 万くらい。

  • 入札書類: ¥ 5,250
  • 書類コピー代: ¥ 900
  • 入札保証金 + 残高 + 手数料: 約 ¥ 1,800,000
  • 所有権移転登記登録免許税 + 抹消登記登録免許税: ¥ 37,600
  • 収入印紙: ¥ 1,200
  • 嘱託書送付料 + 登記完了証等返送料 + 買受人への送付料: ¥ 2,174
  • 住民票: ¥ 300
  • 評価額証明書: ¥ 300
  • 明け渡し合意書の送付: ¥594
  • 各種交通費: 約 ¥ 10,000

 

次回から、本格的にコンテナ DC 建築に入ります。

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